はじめに
2025年、高級時計市場に大きな変化が訪れています。
イギリスの有力経済紙 Financial Times(FT) は最新のオークション市場について、「パテック・フィリップやヴァシュロン・コンスタンタンが値崩れする一方で、ロレックスの中古市場は依然として堅調」 と報じました。
この記事では、FTのレポートをもとに
- なぜ超高額ブランドが値下がりしているのか
- ロレックスが唯一強さを維持している理由
- 認定中古(CPO)市場や投資的視点からの展望
を徹底的に解説していきます。
「今、ロレックスを買うべきか、それとも売るべきか?」を判断するための材料としてぜひ参考にしてください。
パテックやヴァシュロンの値下がりが示すもの
760万ドルから430万ドルへ
記事では、象徴的な事例として パテック・フィリップ Ref.2499 が取り上げられていました。
このモデルは永久カレンダー搭載クロノグラフで、コレクター垂涎の一本です。
- 2022年:760万ドルで落札(過去最高クラス)
- 2025年:430万ドルで落札
わずか数年で3割以上の値下がり。まさに高額モデル市場の調整を象徴する出来事です。
富裕層依存の脆弱性
パテックやヴァシュロンの主な顧客層は、数千万〜億単位の資産家やコレクターです。
金融市場や景気の変化に敏感で、リスクオフ局面では高額入札を控える傾向があります。
そのため、世界的な金利上昇や株式市場のボラティリティが高まると、オークション価格は一気に調整を受けやすいです。
ロレックスが堅調な理由
幅広い需要層
ロレックスの中心価格帯は100万〜300万円台。
資産家だけでなく、一般的な富裕層や時計愛好家もターゲットに含まれます。
つまり、需要の裾野が圧倒的に広いです。
「数十人の超富裕層」に依存する他ブランドと違い、「数十万人の中間層〜富裕層」に支えられているため、相場が崩れにくいと言えます。
流動性の高さ
世界中に買い手が存在し、売りたいときにすぐ現金化できる。
「資産としての流動性」がロレックスの中古価格を支えています。
投資対象として考えた場合、株や金に近い感覚で保有できるブランドはロレックス以外には存在しません。
ブランド認知度と信頼
「ロレックスなら価値がある」と世界中の人が知っている。
このシンプルな認知が、価格の安定を生み出す最大の要因です。
ヴェブレン財としてのロレックス
経済学的に、ロレックスは「ヴェブレン財」と呼ばれるカテゴリーに属します。
ヴェブレン財とは「価格が高いほど需要が高まる財」です。
例えばデイトナ。
300万円を超えても需要が落ちず、むしろ「持っていることがステータス」になるため購買意欲が維持されます。
一方でパテックやヴァシュロンもヴェブレン財ですが、価格帯が数千万〜億単位と極端に高い。
そのため「購買できる顧客数」が限られ、需要の厚みが不足しています。
中古市場とCPOの広がり
近年のロレックス市場を支えるもう一つの要素が CPO(認定中古) です。
CPOは「正規保証付きの中古」として安心感があり、投資目的や資産保全目的の購入者にも強い支持を得ています。
これにより、中古市場は単なる二次流通ではなく、新品市場を補完するもう一つの正規ルートへと進化しました。
Financial Times の記事で報じられた「オークションでの堅調さ」は、このCPOの浸透による市場の安定化とも連動しています。
市場は「選別の時代」へ
かつては「どの高級時計も値上がりする」という時代がありました。
しかし今は違います。
- 裾野の広いブランド(ロレックス) → 強さを維持
- 限られた富裕層依存のブランド(パテック、ヴァシュロン) → 調整局面
市場は、本当に流動性と実需を伴うブランドだけを評価する「選別の時代」に入ったと言えます。
今後のロレックス相場シナリオ
強気シナリオ
- 中古市場、特にCPOがさらに浸透
- デイトナやサブマリーナーは定価超えが継続
- 短期的にプレミア価格が拡大する可能性
中立シナリオ
- 在庫調整や関税要因で一時的に横ばい
- 長期的には緩やかに上昇基調を維持
弱気シナリオ
- 世界景気が急減速し、中間層の購買力が低下
- 一部モデルでプレ値が剥落する可能性
- ただしパテックのような半値下落は考えにくい
投資家・コレクターへの提案
購入を検討している方
今の相場環境は「他ブランドが崩れる中でロレックスが強さを証明した」状態。
購入タイミングとしては妥当性があると考えられます。
売却を検討している方
オークション市場の強さが裏付けになり、買取査定も高値が出やすい状況です。
特にスポーツモデルをお持ちなら、売却の好機です。
投資として考えている方
ロレックスは流動性の高い資産。
分散投資の一部として保有する意義が強まっています。
まとめ
Financial Times が報じたオークション市場の動向は、時計市場の構造変化を明確に示しました。
- パテックやヴァシュロンは値崩れ
- ロレックスは依然として堅調
- 市場は「選別の時代」へ突入
つまり今後の高級時計投資においては、「ブランド力」と「流動性」を兼ね備えたロレックスが、引き続き市場を牽引する存在であることが改めて浮き彫りになりました。
この記事はあくまで個人的な見解であり、投資判断はご自身の状況に応じて慎重に行ってください。