それでもRolexが選ばれ続ける理由
最近、海外メディアを中心に
「高級時計市場は減速している」
「腕時計ブームは終わった」
といった見出しを目にする機会が増えました。
ところがその一方で、ロレックスは工場投資を進め、生産体制の強化に動いています。
市場が冷えているなら、なぜ増産なのか。
増産すれば、相場は崩れてしまうのか。
今回は、海外ニュースと実際の二次流通データを照らし合わせながら、
いま世界の時計市場で何が起きているのか、そしてロレックスがなぜ相対的に強い立ち位置を保っているのかを整理していきます。
高級時計は「終わった」のではなく、フェーズが変わった
まず押さえておきたいのは、今起きているのは
高級時計の終焉ではないという点です。
より正確に言えば、
・コロナ後の過熱した投機フェーズが一段落し
・価格の上下だけを追う市場から
・価値を理解して選ぶ市場へ
移行している、という状態です。
盛り上がり方が変わっただけで、
時計そのものの価値が消えたわけではありません。
ここを取り違えると、相場の見え方が大きくズレてしまいます。
正規市場では「売れているが、作る側が苦しい」
海外の正規小売チェーンの決算を見ると、高級時計市場に慎重な見方が広がる中でも、実際の販売は堅調です。
一方で、
・金価格の高騰
・原材料コストの上昇
・人件費や物流費の増加
といった要因により、利益率は圧迫されています。
つまり、
売れているのに、作る側は楽ではない。
この環境では、すべてのブランドが同じように生き残れるわけではありません。
価格を上げても選ばれるブランドだけが、相対的に強くなる。
その代表例がロレックスです。
ロレックスはここ数年、世界各国で定価改定を繰り返しながらも需要を落としていません。
これは「安いから売れている」のではなく、
高くなっても選ばれているブランド
であることを意味します。
市場が落ち着く局面ほど、この差ははっきり表れます。
二次流通では「ロレックス一強」から「成熟市場」へ
次に、中古市場、いわゆる二次流通の動きを見てみましょう。
海外では、ヴァシュロン・コンスタンタンやIWC、チューダーといったブランドの取引が前年比で伸びている、というデータも出ています。
これだけを見ると、
「ロレックス一強時代の終わり」
と感じる方もいるかもしれません。
しかし実際には、ロレックスは依然として流通量・取引量ともにトップです。
つまり、
ロレックスが弱くなったのではなく、
ロレックスが“基準点”として市場に広く行き渡ったことで、
他ブランドにも目が向き始めた。
市場が崩れたのではなく、成熟したというのが実態に近いでしょう。
Chrono24が示す「安定」と「質的転換」
実取引データを扱うChrono24の分析では、現在の市場は単なる下落ではなく、
・投機的な動きが弱まり
・コレクター中心の市場へ戻り
・価格が激しく上下する局面から、堅調なレンジへ
といった「安定」と「質的転換」が進んでいるとされています。
特に注目すべきは、
スポーツモデル一辺倒から、エレガンス志向への広がり
です。
ドレスウォッチや、日常の装いに自然に溶け込む時計への関心が高まり、
時計が再び「スタイル」や「美意識」の文脈で語られ始めています。
若年層を中心にCartierのような洗練されたデザインが支持されているのも、この流れを象徴しています。
ロレックスは“弱くなった”のではなく“正常化”した
Chrono24のデータでは、ロレックスの市場シェアが過去のピークからやや調整したという見方もあります。
しかしこれは弱体化ではありません。
投機熱が冷め、本来の実需に戻った結果として自然な動きです。
価格の急騰を追いかける時代が一段落し、
価値を理解した人たちが淡々と選ぶ市場へ。
これはむしろ、市場が健全化している証拠とも言えます。
増産=暴落ではない。今後は“モデル間の差”が広がる
ここで多くの方が気になるのが、
「ロレックスが増産したら、相場は下がるのでは?」
という点だと思います。
結論から言えば、
全体が一律に下がる、という形にはなりにくい
と考えています。
ロレックスは無差別に供給を放出するブランドではありません。
出荷配分やラインナップ設計によって、供給そのものをコントロールしています。
さらに需要側を見ると、
・世界的な富裕層人口の増加
・インフレ環境による実物資産志向
といった追い風も続いています。
ロレックスは、
・持ち運べる
・世界で通用する
・流動性が高い
という特徴を持つため、供給が増えても吸収されやすい構造があります。
ただし重要なのは、
「ロレックスなら何でも同じ」ではなくなる
という点です。
市場はすでに選別フェーズに入っています。
需要が厚く、実用性と価値を両立しているモデルは強く、
そうでないモデルは調整しやすい。
今後は、この差がさらに広がっていく可能性が高いでしょう。
エレガンス志向の時代に再評価されるロレックスの本質
スポーツモデルの強さはもちろんですが、
ロレックスの本当の魅力は、
「スポーツでありながら、日常に自然に収まる」
点にあります。
サブマリーナーやGMTマスターIIが評価されるのも、
実用とラグジュアリーの境界を非常にうまく歩いているからです。
時計が再び「装いの一部」として見られる時代になるほど、
この設計思想は改めて評価されやすくなります。
まとめ:いまは“価格”より“価値”で選びやすい環境
現在の市場をひと言で表すなら、
相場は終わるのではなく、整いながら選別が進んでいる
という状態です。
短期的に全体が一方向へ走る場面は起きにくい。
一方で中長期では、価値が理解されるモデルほど存在感を増していく。
だから今は、
焦って買う時期でもなく、
怖がって何もしない時期でもありません。
価格だけでなく、
・自分のスタイルに合うか
・長く付き合えるか
そうした視点で時計を選びやすい環境が、静かに整ってきています。
ロレックスは、
文化的価値
実用性
資産的側面
このバランスが極めて高いブランドです。
価格の上下以前に、
長く付き合える理由がはっきりしている。
市場が成熟するほど、その強さは浮かび上がってきます。
これから一本目を検討している方にも、
すでにお持ちで次の一本を考えている方にも、
今回の記事が判断整理の材料になれば幸いです。
参考記事はこちら
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