「自分が持っているロレックスは、将来子供に残した方がいいのだろうか?」
「生きているうちに息子へ渡した方がいい?」
「ロレックスを相続すると税金はかかる?」
「時計のまま残すのと、売却して現金で残すのはどちらがいい?」
50代・60代になり、自分が長年所有してきたロレックスを将来どうするか考え始める方もいるのではないでしょうか。
特にロレックスを何本も所有している方の場合、時計だけで数百万円、場合によっては1,000万円を超える資産になっていることも考えられます。
デイトナ、GMTマスターII、サブマリーナーなど、購入した当時より現在の市場価値が大きく上昇しているモデルもあります。
そこで考えておきたいのが、
「自分がロレックスの価値を理解しているから、家族も分かっているだろう」
とは限らないことです。
自分にとっては、
「これはデイトナの○○」
「このGMTは昔買った旧型」
「これは保証書まで揃っているから価値がある」
という当たり前の知識でも、時計に興味がない家族から見れば、
「父親が持っていた古いロレックス」
という認識しかない可能性があります。
そして何も伝えないまま相続されれば、
価値が分からない。
保証書の場所が分からない。
購入価格も分からない。
どの時計を残してほしかったのか分からない。
最悪の場合、価値を知らずに安く売却してしまう。
そんなことも考えられます。
ロレックスを資産として所有している50代・60代の方こそ、一度、
「この時計を将来どうするのか」
を考えておくことをおすすめします。
この記事では、ロレックスを子供に相続する前に知っておきたいことから、生前贈与、相続税、時計の価値の記録方法、売却して現金で残す選択肢まで詳しく解説します。
※本記事の税務部分は一般的な制度の解説です。実際の税額や最適な承継方法は家族構成・他の資産・贈与時期などによって異なるため、高額な時計を複数所有している場合などは税理士等へ確認してください。
ロレックスを「ただの腕時計」と考えない
まず認識しておきたいのが、現在所有しているロレックスの資産価値です。
たとえば20年、30年前に数十万円で購入した時計でも、現在の中古市場では購入価格を大きく上回っている可能性があります。
逆に、すべてのロレックスが値上がりしているわけでもありません。
重要なのは、
自分がいくらで買ったかではなく、現在その時計がいくらなのか
です。
これは将来子供へ残す場合にも非常に重要です。
たとえばロレックスを5本所有していて、
「昔全部合わせても300万円くらいだった」
と思っていても、現在価値が合計1,000万円になっている可能性もあります。
時計の資産価値が大きくなっているなら、預貯金や株式などと同様に、
自分が所有する資産の一部
として整理しておいた方がいいでしょう。
まず自分が所有しているロレックスを一覧にする
ロレックスを複数所有している方におすすめしたいのが、
所有時計リストを作っておくことです。
難しいものを作る必要はありません。
最低限、
- モデル名
- リファレンス
- 購入した時期
- 購入店舗
- 購入価格
- 現在のおおよその価値
- 保証書の有無
- 箱の有無
- オーバーホール履歴
- 付属品の保管場所
くらいを整理しておくだけでも大きく違います。
自分が元気なうちは、
「そんなものは全部覚えている」
と思うかもしれません。
しかし、重要なのは自分のためではなく家族のために残す情報だということです。
家族はロレックスの価値を知らないかもしれない
ロレックス好きにとっては、
デイトナ
GMTマスターII
サブマリーナー
デイデイト
エクスプローラー
などの違いはすぐ分かります。
しかし時計に興味がない家族には、全部同じロレックスに見えるかもしれません。
まして、
「この文字盤は人気がある」
「このリファレンスは廃盤」
「この保証書は絶対に捨ててはいけない」
「この時計は昔の購入価格よりかなり上がっている」
といったことまで理解しているとは限りません。
だからこそ、時計だけ残すのではなく、
時計の情報も一緒に残す
ことが重要です。
箱・保証書の保管場所を家族に伝えておく
特に重要なのが付属品です。
時計本体は金庫にある。
しかし箱はクローゼット。
保証書は別の書類ケース。
余りコマは引き出し。
オーバーホールの明細は仕事部屋。
という方もいるのではないでしょうか。
本人なら全部分かります。
しかし家族は分かりません。
相続後に遺品整理をした際、
時計だけ残して、箱や保証書を捨ててしまう
可能性があります。
ロレックスを子供へ残すのであれば、
時計・箱・保証書・余りコマ・タグ・修理関係書類
をできるだけ一緒に管理しておくことをおすすめします。
「どの時計を誰に残すか」も考えておく
ロレックスを複数所有している場合は、さらに重要です。
たとえば、
長男にはデイトナ。
次男にはGMTマスターII。
妻にはデイトジャスト。
というように、具体的に残したい時計があるかもしれません。
一方、
「時計に興味がある子供だけに全部渡したい」
という考え方もあるでしょう。
問題は、
本人の頭の中にしかその希望がないことです。
相続発生後に、
「父親はこのデイトナを自分にくれると言っていた」
「いや、自分がもらうと聞いていた」
となれば家族間のトラブルにつながる可能性があります。
特に現在のロレックスは一本数百万円になることもあります。
「時計くらい」と軽く考えない方がいいでしょう。
具体的な遺産分割や遺言について希望がある場合は、弁護士・司法書士などの専門家への相談も検討してください。
ロレックスを相続すると相続税はかかる?
ロレックスも財産である以上、相続時にはその価値を考える必要があります。
相続財産の評価は原則として時価を基礎とする考え方で、国税庁の資料でも財産の種類に応じた評価方法が示されています。
ただし、
「300万円のデイトナを子供に残したら、300万円に対して必ず相続税がかかる」
という意味ではありません。
相続税はロレックス一本だけを切り離して判断するものではなく、預貯金、不動産、有価証券など他の相続財産も含めて計算します。
相続税には基礎控除がある
相続税には基礎控除があります。
基本となる計算式は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
です。
たとえば法定相続人が3人なら、
3,000万円+600万円×3人
となり、基礎控除は4,800万円です。
したがって、
「ロレックスを持っているから子供に相続税が発生する」
とは限りません。
重要なのはロレックスだけではなく、
自分の相続財産全体がどの程度あるのか
を把握しておくことです。
ロレックスを生前に子供へ渡せば税金はかからない?
ここは注意が必要です。
「相続税が気になるなら、生きているうちに時計を子供へ渡せばいい」
と考える方もいるでしょう。
しかし、生前に無償でロレックスを子供へ譲れば、贈与税の問題が出てくる可能性があります。
暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の合計額を基に計算し、基礎控除は年間110万円です。基礎控除を超える場合は原則として贈与税の申告が必要になります。
つまり、
「時計だから贈与税は関係ない」
というわけではありません。
300万円のロレックスを子供にあげたら?
分かりやすい例で考えてみましょう。
仮に現在価値300万円のロレックスを成人した子供へ贈与したとします。
その年に他の贈与がないとしても、暦年課税の110万円という基礎控除を超えることになります。
父母や祖父母など直系尊属から18歳以上の子・孫への一定の贈与には特例税率が適用されますが、具体的な贈与税額は財産価額やその年の他の贈与などによって変わります。
したがって、
「使っていないデイトナだから息子にあげる」
という行為でも、高額な時計なら税務を無視しない方がいいでしょう。
相続時精算課税という制度もある
生前贈与には「相続時精算課税」という制度もあります。
現在の制度では、相続時精算課税を選択した場合、年間110万円の基礎控除に加えて、一定の要件・手続のもとで累計2,500万円までの特別控除があります。
特別控除後の金額には20%の税率が適用され、将来の相続時に一定の贈与財産を加えて相続税を精算する仕組みです。
ただし、相続時精算課税は単純に、
「2,500万円まで無税で子供に渡せる制度」
と理解するのは正確ではありません。
将来の相続まで含めて考える制度ですし、選択には手続も必要です。
高額なロレックスや複数本の時計を生前贈与する場合は、税理士などへ相談したうえで判断した方が安全です。
「毎年110万円ずつ時計を渡す」は簡単ではない
ここで疑問になるのが、
「年間110万円までなら、少しずつ時計を渡せばいいのでは?」
という点です。
しかしロレックスは現金とは違います。
300万円のデイトナを、
今年110万円分
来年110万円分
再来年80万円分
というように物理的に分割して渡すことはできません。
時計一本を贈与するのであれば、その時計の価値を基に考える必要があります。
また暦年課税による生前贈与については、2024年1月1日以後の贈与から、相続時に加算される対象期間が段階的に従来の3年から7年へ延長される制度改正も行われています。
「年間110万円以内なら何も考えなくていい」という単純な話ではないため、相続対策として贈与を行う場合は制度全体を確認してください。
生前贈与のメリットは「税金」だけではない
ここまで税金について説明しましたが、生前にロレックスを子供へ譲るメリットは節税だけではありません。
むしろ時計の場合、
本人から子供へ直接渡せる
ことに大きな意味があります。
たとえば、
「これは自分が30歳のときに初めて買ったロレックス」
「会社を立ち上げたときに買ったデイトナ」
「お前が生まれた年に買ったサブマリーナー」
など、その時計にまつわるストーリーを本人の言葉で伝えられます。
これは相続後にはできません。
子供がロレックスを欲しいとは限らない
一方で、非常に重要なのがここです。
自分が大切にしているロレックスを、子供も欲しいとは限りません。
時計好きの本人からすると、
「このデイトナをもらえるなら絶対うれしいだろう」
と思うかもしれません。
しかし子供が時計に興味を持っていなければ、
「数百万円の時計より現金の方がいい」
と思う可能性もあります。
あるいは、
「高価すぎて怖くて使えない」
という場合もあるでしょう。
だからこそ50代・60代のうちに、一度家族へ聞いてみることをおすすめします。
子供が使わないなら売却して現金で残す選択もある
ここで第三の選択肢が出てきます。
ロレックスを自分で売却して、現金として資産を残す方法です。
たとえば、
ロレックス5本で現在価値1,500万円。
しかし子供は誰も時計に興味がない。
それなら、自分が元気で相場も理解できているうちに時計を整理するという考え方もあります。
もちろん売却によって利益が出た場合の所得税など、別途税務上の検討が必要になるケースはあります。
しかし、
時計に詳しい本人が売る
という点には大きなメリットがあります。
自分なら安売りを防げる
これはロレックス所有者ならイメージしやすいでしょう。
自分なら、
「このモデルの現在相場はこれくらい」
「この文字盤は評価されている」
「この保証書は重要」
「この査定額は安すぎる」
と判断できます。
しかし、相続した子供に同じ判断ができるとは限りません。
たとえば自分が500万円の価値があると理解している時計でも、子供が、
「父が昔100万円くらいで買ったと言っていたから、300万円なら十分高い」
と考えて売却してしまう可能性があります。
購入価格より高く売れたとしても、
現在価値より大幅に安ければ、それは適正な売却とは言えません。
だから「現在の査定額」を記録しておく
まだロレックスを売るつもりがない方にもおすすめしたい方法があります。
それが、
現在の査定額を定期的に確認して記録しておくことです。
たとえば一覧表に、
デイトナ 約○○万円
GMTマスターII 約○○万円
サブマリーナー 約○○万円
と記録しておくだけでも、家族にとって大きな参考になります。
もちろん相場は変動します。
5年後、10年後に同じ価格とは限りません。
それでも、
「この時計は数万円の時計ではなく、数百万円クラスの資産だった」
と家族が理解できます。
購入価格も分かるなら記録しておく
可能であれば購入価格も残しておきましょう。
これは単純に、
「どれだけ値上がりしたか」
を見るためだけではありません。
将来時計を売却することになった場合、税務上の取得費を検討するうえで購入時の資料が重要になる可能性があります。
購入時の領収書などが残っているなら、保証書と一緒に保管しておくとよいでしょう。
ロレックスを子供に残すなら「4点セット」で考える
個人的には、時計だけを子供に残すのではなく、
時計+付属品+情報+意思
の4点セットで考えることをおすすめします。
時計
当然ですがロレックス本体です。
付属品
箱、保証書、余りコマ、タグ、修理明細など。
情報
モデル、リファレンス、購入価格、おおよその現在価値など。
意思
「この時計は残してほしい」「必要なければ売却して構わない」など、自分がどうしてほしいのか。
この4つを揃えておくだけでも、家族が将来困る可能性をかなり減らせます。
「絶対に売るな」と決める必要もない
一方で、
「これは家宝だから絶対売るな」
と子供へ押し付ける必要もないと思います。
自分にとって大切な時計でも、次の世代にとって同じ価値を持つとは限りません。
むしろ、
「自分は大切にしてきた。でも必要なければ適正価格で売って構わない」
と伝えておくのも一つの考え方です。
大切なのは、
価値を知らずに安く処分されないこと
ではないでしょうか。
50代・60代はロレックスを整理する良いタイミング
まだ相続なんて早いと思う方もいるでしょう。
しかし、50代・60代はロレックスを一度整理するには良いタイミングです。
なぜなら、
まだ自分で時計を楽しめる。
時計の購入経緯を覚えている。
相場を自分で確認できる。
家族と相談できる。
売却するなら自分で交渉できる。
という状況だからです。
70代、80代になってから慌てて考える必要はありません。
まして家族が相続してから、
「これは何という時計?」
「保証書はどこ?」
「いくらで売ればいい?」
と調べ始めるより、所有者本人が整理しておく方が圧倒的に簡単です。
まず「残す時計」と「整理する時計」を分ける
ロレックスを複数所有しているなら、すべて同じ扱いにする必要はありません。
たとえば、
思い入れが強い時計
初めて買ったロレックス、記念日に購入した時計などは子供へ残す。
現在も使っている時計
当然そのまま所有する。
最近まったく使っていない時計
現在価値を確認して売却を検討する。
子供が欲しがっている時計
生前贈与を含めて引き継ぎ方を考える。
このように分類すると整理しやすくなります。
「売るかどうか」より先に現在価値を知る
ここがこの記事で最も伝えたいポイントです。
ロレックスを子供へ残すか。
生前に譲るか。
自分で売却するか。
これを考える前に、
まず現在価値を把握してください。
300万円だと思っていた時計が500万円なら判断が変わるかもしれません。
反対に500万円くらいだと思っていた時計が300万円なら、
「それなら売らずに息子に残そう」
と思うかもしれません。
価値を知ったからといって売る必要はありません。
査定は、資産を把握するためにも使えます。
ロレックスを複数所有している人ほど一度査定してみる
特におすすめしたいのが、ロレックスを複数所有している50代・60代です。
1本なら現在価値を把握している方も多いでしょう。
しかし5本、10本と所有していると、
「全部合わせて現在いくらなのか」
まで把握していないことがあります。
購入時総額1,000万円でも、現在価値は1,500万円かもしれません。
逆に相場下落によって以前より評価が下がっているモデルもあるでしょう。
資産整理という意味でも、
一度すべての時計の現在価値を確認する
ことには意味があります。
子供に残すならロレックスの「取扱説明書」を作る
大げさなエンディングノートを作らなくても構いません。
A4用紙一枚でもいいでしょう。
たとえば、
デイトナ Ref.○○
20○○年購入
箱・保証書あり
保証書は金庫内
2026年査定額:約○○万円
思い入れがあるので可能なら長男へGMTマスターII Ref.○○
20○○年購入
箱・保証書あり
2026年査定額:約○○万円
誰も使わないなら売却して構わない
これだけでも十分です。
これを時計と一緒に保管しておけば、将来家族が迷いにくくなります。
生前贈与・相続・売却、どれが正解?
結論として、
全員に共通する正解はありません。
子供が時計好きなら、生前に譲って一緒に楽しむのもいいでしょう。
自分が最後まで使いたい時計なら、そのまま所有して将来相続する方法があります。
誰も使わない時計なら、自分で売却して資産を整理する考え方もあります。
重要なのは、
「何となく全部残しておく」以外の選択肢も知っておくことです。
税金、資産価値、家族の希望、そして時計への思い入れ。
これらを総合して判断してください。
まとめ|ロレックスだけでなく「価値と情報」も子供へ残す
50代・60代でロレックスを所有しているなら、一度、
「自分がいなくなった後、この時計を家族はどうするだろう?」
と考えてみてください。
子供が時計好きなら問題ないかもしれません。
しかし時計に興味がなければ、
モデルも分からない。
リファレンスも分からない。
保証書がどこにあるか分からない。
現在価値も分からない。
そんな状態でロレックスだけが残される可能性があります。
だからこそ、
時計だけを残さないこと。
モデルやリファレンスを記録する。
箱・保証書をまとめる。
購入価格の資料を残す。
現在価値を確認する。
そして、
「残してほしいのか」
「売っても構わないのか」
という自分の意思も家族に伝えておく。
これだけでも大きく違います。
また、生前にロレックスを子供へ譲れば、贈与税の対象になる可能性があります。暦年課税の基礎控除は年間110万円で、高額なロレックスを贈与する場合には税務上の確認が必要です。
一方、相続税についてはロレックス一本だけで判断するのではなく、預貯金や不動産など他の相続財産を含めて考えます。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
そして相続対策を考えるうえでも、最初に必要なのは、
現在、自分が持っているロレックスにいくらの価値があるのか
を把握することです。
売却する必要はありません。
査定額を確認してから、
自分で使い続ける。
子供へ生前に譲る。
将来相続する。
使わない時計だけ売却する。
と判断すればいいのです。
ロレックスを大切にしてきた本人だからこそ、時計の価値を最も理解しています。
その知識も含めて次の世代へ残す。
それが、ロレックスを子供に相続する前にできる一番大切な準備ではないでしょうか。



















